[レポート] パネルディスカッション『Embedded Analyticsの可能性』 – Join:the Tour Tokyo 2019 #looker
世界各国の会場で開催されてきたワールド・ツアーイベント「JOIN:The Tour 2019」。日本国内では「Join:the Tour Tokyo 2019」という形で2019年07月09日(火) ホテルニューオータニ 麗の間にて開催されました。
当エントリでは、その中から「Embedded Analyticsの可能性」というテーマで行われたパネルディスカッションについてレポートしたいと思います。
目次
イベントレポート
セッションの登壇者情報は以下の通りです。(※以降、会話部分は敬称略とさせて頂きます)
- モデレータ&パネリスト:小澤 正治氏(Looker Japanカントリーマネージャー)
- パネリスト:小森谷 一生 氏(株式会社JMDC 社長室 ソリューション アーキテクト)
- パネリスト:高橋 孝太郎 氏(ピクシブ株式会社 データ駆動推進室 マネージャー)
導入:Looker Embeddedの利用状況
- 小澤:
- Lookerは一般的なBIとは異なる、という話を基調講演でNickが話しました
- では何がどういう風に違うのか。その辺り、Embedded Analyticsのキーワードを使いながら紐解いていきたい
- 現在1700-1800居るお客様のうち、約3分の1がデータを外に公開して活用している
- リターゲティングのCriteoに、現在Lookerが組み込まれている
- リターゲティング広告でROAS平均13倍、売上最大化 | Criteo
- 広告ビジネス、データの透明性高め、信頼性を上げていくために使っている
- また、広告主とのやり取り・コミュニケーションコストを下げる効果もあるのでは?
- 現時点での日本でのお客様の7-8割が内部データ分析の活用、それと並行して埋め込み分析も活用頂いている
- パートナーかつお客様のブレインパッド様事例:カスタムレポーティングをLookerで作成
- 埋め込み分析の活用方法は日本でも検討されている。
- 小森谷:
- 会社&自己紹介
- 株式会社JMDC
- 「医療データと解析力で健康社会の実現を目指す」というビジョンを掲げ、日本が抱える医療費高騰の問題等をデータを使って改善
- 健康保険組合や病院からデータを預かり、医療費の分析環境の提供、匿名加工を行い製薬業界や生命保険業界にデータを卸し、商品開発やマーケティングにデータを提供
- 大学等の公的機関にもデータを提供、論文作成等に利用頂いている
- 現在は社長室に所属、クラウド化推進やBIツール導入推進に携わっている
- 会社&自己紹介
- 高橋:
- 会社&自己紹介
- イラスト コミュニケーションサービス[pixiv(ピクシブ)]
- 「創作活動がもっと楽しくなる場所を作る」を理念として掲げる
- 1日20000〜25000件の作品が投稿されている
- イラストクリエイター向けの事業:ファクトリー/ショップを作って売る事が出来るサービス
- クリエイターの創作活動をサポート
- フランスで行われたCool Japan Expoにも出展されていたとのこと
- 現在はデータ駆動推進室に所属、データの民主化を促進
- 会社&自己紹介
組み込み分析を検討された背景
- 小澤:
- ビジネス的なインパクトとして、なぜ両社は「組み込み分析」を検討するに至ったか。
- 小森谷:
- 医療データについては取扱に規制があり、ビジネス的に難易度が高くなってしまうことが問題になっていた
- それらの問題を解決するために国の方でもガイドラインが改定され、クラウドを使っていこうというお触れも出た
- 現在はデータベースを統一(Amazon Redshiftを利用)、Lookerでアクセスする形を取り、製薬業界向けにサービスを展開しているところ
- 小澤:
- ビジネス的なインパクトで考えて、製薬会社様がjmdc様に依頼して納品するまでのワークロード、どう変わりましたか?また変わりそうですか?
- 小森谷:
- マーケ部門でいうと、こういう期間でこういう薬を処方したという情報、以前では分からなかったわからなかったことが、Lookerでダッシュボードを提供することで分かるようになった
- お客様と一緒にハンズオンを行って改善を行いながら分析を重ねている
- ダッシュボードはお客様自身でも、またJMDC側でも提供・カスタマイズしている
- 高橋:
- 世界的に著名なクリエイターが居る一方で、ビジネス的に活用出来ていないというケースも多い、というのが課題
- 楽しく創作活動しているひとが居るのは嬉しいが、そういう方々を後押ししていきたい
- 埋め込み分析をつかうことで、弊社のサービスを使っている行動データを集積してクリエイターさんに返すことで、クリエイターさん自身がどういう強みを持っているのかを把握することが出来る、そういうサポートが出来ればと思っている
- 小澤:
- pixivさんの場合、既にプレミアムサポートがありますが、Lookerを介することでどんな変化が生まれそうですか?
- 高橋:
- Lookerをつかうことによって、より作家さん自身やファンの方々が「何が好きなのか」を深く理解することが出来るかな、と思ってます
- 結果としてより作家さん独自の世界観、ファンの方に通じるような作品が生まれやすくなるのかなと
- この活動を通じて、作家さんの創作活動を継続出来るようにサポート出来、またプレミアムサポート自体も継続して頂ける、お互いに取って良い形が実現出来るかなと思っている
埋め込み分析に求められる技術的な要件
- 小森谷:
- Redshiftで提供しているので、実行されるクエリに対してパフォーマンスを提供するという部分がある
- Exploreを提供するので、使い易く提供するというところは気を付けている
- Web UIでは一般的なところとなるフィルタリングの部分について、BI(Looker)で簡単に分析出来る環境を用意している
- 小澤:
- アドホック分析等で用いる、定義されたデータのネーミングとか気をつけているものはありますか?
- 小森谷:
- ネーミングだと医療データの場合特殊な項目名になるので、専門用語をどう読ませるのかは気をつけている
- 小澤:
- 活用する際、データ定義と日本語ラベルって、使う人や企業によって変わってくる場合はありますか?
- 小森谷:
- そこはあまりないですね。汎用的になるようにしています
- 小澤:
- 一旦定義してしまえば同じラベルで分析出来るような感じですね
※その他、JMDC様の事例に関する詳細はこちらのスライド資料をご参照下さい。
- 高橋:
さいごに
- 小澤:
- ビジネス、技術双方でお話頂きました
- 恐らくbtob,btocいずれの場合でも、データの価値を高めていくために「埋め込み分析」を何らか検討されていると思われます
- 色々な切り口があるとは思いますが、敢えて一つ検討材料を挙げるとすれば何がありますでしょうか?
- 小森谷:
- 製薬・製法業界は要求が高い。ダッシュボードで可視化して終わりというだけでなく、SQLを通してどうやってカスタマイズしながらコミュニケーションを取っていくか、その辺をビジネスとして行きたい。
- 高橋:
- 似たような話になるが、弊社自体の理念としてはデータ自体を当事者が見るべきかどうか、というのもある。
- クリエイターがデータを見て理解できる、リテラシーを高めていけるような世界をツールやサポートを通じて提供していきたい。
まとめ
という訳で、「Join:the Tour Tokyo 2019」のパネルディスカッション『Embedded Analyticsの可能性』のレポートでした。
『埋め込み分析(Embedded Analytics)』というトピックに焦点を絞る形での内容でしたが、当ディスカッションの会話を追うことで利用シーンをイメージ出来たのではないかなと思います。こちらについても私自身まだ試してみてはいないので、近い内に手元のデータを使って試してみたいと思います!